山田耕平(日本共産党)
●質問1○児童館の廃止・削減方針について
②支持しない
(意見)区立施設再編整備計画における児童館施設の全館廃止方針は、子ども達の拠点となり地域コミュニティの核でもある施設を喪失させるものであり、重大な問題です。児童館の廃止方針を撤回し、維持・存続することを求めます。
杉並区の児童館は各小学校区に対応して設置されており、子ども達の拠点・遊びの場としてかけがえのない役割を果たしてきました。長い年月をかけて施設職員や子育て世代、地域住民を繋げるコミュニティの核となり、多彩で魅力的な地域行事等が児童館を中心に実施されてきた経緯があります。
区立施設再編整備計画では児童館施設を全館廃止する方針が示され、区は小学校内で実施する放課後等居場所事業等で「児童館機能を継承する」と強弁してきました。しかし、放課後等居場所事業では、児童館機能は大幅に縮小し、継承どころか全く別の事業に変質していることが、先行実施された事例や議会質疑によって明らかとなっています。
そもそも児童館は、国の「児童館ガイドライン」で理念や目的が定められ、「自由に来館して過ごすことができる」「子どもが自らの意思でひとりでも利用することができる」「地域における子どものための拠点(館)」等とされ、児童福祉法に基づく児童福祉施設であると定めています。また「児童館運営設置要綱」では、集会室、遊戯室、図書室及び事務執行に必要な設備のほか、必要に応じ、相談室、創作活動室、静養室及び児童クラブ室等を設けることが定められています。
一方、区が児童館機能を継承するとした放課後等居場所事業は国のガイドラインや要綱に「沿うものではない」と区自ら認めており、児童福祉法に基づく児童福祉施設では無くなります。また、児童館機能の多くが失われることになります。先行実施された荻窪北児童館の廃止→桃2小放課後等居場所事業でも、以下の点で著しく機能低下している実態も明らかとなっています。
・体育室・図書室・図工室・スタジオ等、これまで利用できた居室の大幅な減少
・これまで利用対象児童は自由に児童館を利用出来ていたが、事前登録が必要になる
・目印としてゼッケン(ビブス)の着用が義務付けられる
・日曜利用が可能だったが不可へ
・他校生と一緒の利用は自由だったが事前登録が必要となる
・未就学児と一緒の利用は可能だったが不可へ
・おやつは家から持参して食べられていたが、食べられない
・中高生の居場所は無くなる 児童館の全館廃止により、これまでの培われてきた機能が喪失します。児童館の維持・存続こそ必要です。
●質問2○保育園の民営化について
②区の方針は支持しない
(意見)区立保育園は公務員として保育士を安定的に確保し、杉並区内の保育の質を守る上でも基準となっています。区立保育園の民営化方針はストップし、維持・拡充すべきです。
この間、杉並区内において新設の民間認可保育所が大幅に増設されています。それに伴い、新設園での保育士の離職の多さなど、保育の質を確保する上では深刻な問題も発生しています。また、公立保育園の民営化直後に、「職員の大量離職問題が発生する園」や「園外保育中に園児が行方不明になる事故」などが発生しており、民営化に伴う保育の質の低下の典型事例でもあります。区立保育園では、公務員として保育士を確保し、現場ではベテラン保育士から若手保育士まで、経験年数に応じた保育士配置のバランスなども安定しています。多くの自治体で保育士不足が顕在化する中、公立園での保育士募集には多数の応募があります。保育士としての専門性や経験年数を積み上げるために、処遇が安定し労働環境も整った公立保育園が、保育士からも求められていることは明らかです。
区は、保育関連経費の増加や人件費の削減などの財政効果に主眼を置いて、公立保育園の民営化を強行していますが、保育の質の確保は児童の命と豊かな成長、発達にも直結するものであり、財政効果の観点ではかるべきではありません。杉並区の保育の質を確保する上でも区立保育園の民営化方針は中止すべきです。
●質問3○区立施設の利用料について
②高額すぎる
(意見)この間の登録団体半額制度の廃止と使用料段階的引き上げにより、区民の社会活動に重大な影響が発生しています。高過ぎる施設使用料を引き下げ、区民の社会参加を保障すべきです。
使用料等の引き上げにより、区民の趣味やスポーツ活動が継続出来ない事態が発生しています。平成29年度第49回杉並区区民意向調査では、「上井草スポーツセンタープールで水中歩行の会をつくり、団体貸し切りのコースを利用していましたが、(中略)補助金がなくなり、プール使用料は値上がり、高齢者の退会も続き、6月で閉会することになりました。」等の切実な声が寄せられています。
杉並区の施設使用料は近隣区(世田谷区・中野区)と比較しても高い実態があります(約50㎡会議室を借りた場合、杉並2200円、世田谷810円、中野600円)。区民が利用した場合の軽減策を検討すべきです。
区立施設は区民の税金で作られたものであり、地方自治法にも「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するために設ける施設」と示されています。区民の社会活動を広く保障するために使用料は低額に設定し、将来的には無料とすべきです。
●質問4○田中区政の評価について
②評価できない
(意見)田中区政のもとで進められる区立施設の削減などが区内各地に深刻な影響を及ぼしています。また、杉並区自治基本条例に定められる住民参画を保障せず、住民を無視する強権的な区政運営は、重大な問題があります。住民無視の区政運営を改めるよう強く求めます。
田中区政のもと、杉並区政史上前例のないまち壊しが進んでいる状況です。区民の財産でもある区立施設が次々と再編・削減の対象となり、田中区政のわずか数年間で廃止されようとしています。
各地で発生した問題の一端を取り上げます。
・児童館施設の全館廃止を打ち出し、現在、児童館3館が廃止、新たに9館も廃止することに。児童館施設で培われてきたさまざまな魅力ある遊び、プログラムの多くは継承されていません。
・杉並区が誇る科学館は、日本全国の科学者が存続を求める声を広げる中、廃止されました。
・あんさんぶる荻窪は、国との財産交換により廃止。築浅の施設で、住民と行政が共に作った地域の拠点が廃止に。地元町会長が杉並区を相手に訴訟を起こす等、深刻な問題となりました。
・高円寺地域の小中一貫校問題では、3.5校分の小中学校を1校に統廃合するため、施設が大規模化し、周辺環境に甚大な影響を及ぼしています。計画の強行に抗議する地元住民が工事業者からスラップ訴訟で訴えられるなど、地方自治体の公共工事として前代未聞の異常事態となりました。極めて乱暴に計画を強行しながら、工事遅延の責任を住民に転嫁した区・事業者は、到底許されません。
・阿佐谷地域のまちづくりでは、阿佐ケ谷駅前に13階建てのビルを整備する方向性が打ち出されており、地元の商店街から影響を懸念する声が出されています。貴重な緑の喪失や学校移転先の土壌汚染等も懸念されています。
・区立保育園の民営化方針が加速し、保護者や児童が置き去りのまま、公立保育園の廃止方針が次々と進められています。
・保育園整備用地確保のため、子供たちのかけがえのない居場所でもある公園が乱暴に取り上げられ、地域住民や子供たちの心に深い傷を負わせ、杉並区政に大きな禍根を残しました。
・補助132号や133号等の不要不急な都市計画道路に固執し、近隣住民生活を脅かしています。
このように区内各地で問題が発生し、その問題に直面する住民が計画中止を求める切実な声を上げてきました。これほど大規模に区内各地で住民の声が広がっていることは、未だかつてありません。
地域ごとに住民要求は異なりますが、共通していることは、計画先にありき、住民無視の区政運営の問題点を指摘する声です。区が進める計画に対し、多くの区民から計画の見直しを求める声が寄せられたとしても、その声には全く耳をかさず、計画が決定されています。
杉並区の憲法とも言える杉並区自治基本条例では、区民参画の保障がうたわれており、区民などが計画の立案から決定、評価に至るまでその過程に主体的に参加し、意思決定にかかわるとされています。しかし、田中区長の区政運営は、自治基本条例の理念からも遠くかけ離れるものであり、非民主的なものです。
住民の声をないがしろにし、計画を強行することは、杉並区自治基本条例にも明確に反する重大な問題であり、直ちに改めるべきです。
●質問5○憲法9条改憲について
②改憲に反対
安倍政権が進める憲法9条改憲に反対。9条を守り、活かし、国際社会に平和的貢献をすることが日本の責務です。